たばこを吸う人は、吸わない人よりも、死亡のリスクが高くなります。たばこを吸ったことがない人、昔吸っていたけどやめた人、吸っている人の3グループで、40-59歳の人の 10年間の死亡率を比べてみると、たばこを吸っている人の死亡率は、吸ったことがない人と比べて、男性では 1.6倍、女性では1.9倍と高いことがわかりました。一方、昔吸っていたけどやめた人の死亡率は、全死因、がん、循環器疾患のいずれでみても、吸ったことがない人との差が認められませんでした。
この1.6倍、1.9倍という数値は、一見、大きくない数値のようですが、この数値の意味を、男性を例にして考えてみます。
日本で1年間に亡くなる男性は約60万人です。日本人男性で、たばこを吸ったことがない人、吸っていたがやめた人、吸っている人の割合は、大ざっぱにいって1:1:2くらいです。これをもとに、先ほどの研究結果が日本人全体に当てはまるとすると、1年間に亡くなった男性60万人のうち、図の赤い部分に相当する約13万人が、たばこを吸っていたことによる死亡の“超過分”で、たばこを吸っていなければ亡くならずにすんだ人たちと考えられます。このように、たとえ死亡のリスクが2倍に達していなくても、喫煙によって危険にさらされる人が多いために、健康被害を受けている人数は非常に多くなるのです。