Learn about smoking 禁煙について学ぼう

たばこによる健康への影響 それでも、たばこを吸い続けますか?

たばこが健康に害を与え、死亡につながることは知られています。しかし、具体的にどのくらい健康に影響を与えるのでしょうか。たばこと健康の関係に向き合い、たばこの危険性について考えてみてください。

たばこはすべてのがんに悪影響!肺がんだけじゃない!

たばこが肺がんの危険因子になることや、特に肺の近くの部位である、口腔、咽頭、喉頭がんになりやすくなるということは、多くの人が知っていると思います。ところが、たばこを吸う人がなりやすいがんは、それだけではありません。国際がん研究機関(IARC)による、たばこに関する評価では、すい臓、肝臓、食道、胃、大腸、乳房、腎臓、膀胱、子宮頚部のがん、また、白血病も、たばこが危険因子だとまとめています。たばこは、肺がんだけの危険因子ではなく、ほぼ全身のがんの危険因子だといえます。喫煙は、自ら「がんになってもよい」と認めているようなものです。

具体的に、日本人におけるたばこの健康影響はどうでしょうか? 国立がん研究センターの研究班が日本全国40-69歳の男女14万人を1990年から現在まで追跡している研究から結果を抜粋してみました。

たばこが原因で亡くなる日本人男性、1日推定350人以上!

たばこを吸う人は、吸わない人よりも、死亡のリスクが高くなります。たばこを吸ったことがない人、昔吸っていたけどやめた人、吸っている人の3グループで、40-59歳の人の 10年間の死亡率を比べてみると、たばこを吸っている人の死亡率は、吸ったことがない人と比べて、男性では 1.6倍、女性では1.9倍と高いことがわかりました。一方、昔吸っていたけどやめた人の死亡率は、全死因、がん、循環器疾患のいずれでみても、吸ったことがない人との差が認められませんでした。

この1.6倍、1.9倍という数値は、一見、大きくない数値のようですが、この数値の意味を、男性を例にして考えてみます。

日本で1年間に亡くなる男性は約60万人です。日本人男性で、たばこを吸ったことがない人、吸っていたがやめた人、吸っている人の割合は、大ざっぱにいって1:1:2くらいです。これをもとに、先ほどの研究結果が日本人全体に当てはまるとすると、1年間に亡くなった男性60万人のうち、図の赤い部分に相当する約13万人が、たばこを吸っていたことによる死亡の“超過分”で、たばこを吸っていなければ亡くならずにすんだ人たちと考えられます。このように、たとえ死亡のリスクが2倍に達していなくても、喫煙によって危険にさらされる人が多いために、健康被害を受けている人数は非常に多くなるのです。

日本で1年間に死亡する男性(約60万人)
日本で1年間に死亡する男性の60%が喫煙者。
たばこを吸っていなければ亡くならずにすんだ人は1年間で約13万人!

吸えば吸うほど肺がんの危険性は加速!

これまでに吸ったたばこの総量を「喫煙指数」といい、1日の喫煙本数×喫煙年数で表します。たとえば、1日20本を10年吸った人なら、喫煙指数は20×10=200になります。この研究では、この喫煙指数が高くなるにつれて、罹患率も高くなる傾向が男性で認められました(右図)。

肺がんでみると、喫煙指数が400未満の比較的軽い喫煙者でも吸わない人に比べて肺がんになるリスクが2.5倍、1200を超えるヘビースモーカーでは、6.4倍肺がんになりやすいという結果でした。

男性喫煙者が肺がんになるリスク

今からたばこをやめても、遅くない?

この研究では、たばこをやめた人の死亡率は、もともと吸わない人の死亡率と同程度という結果でした。たばこを止めた人のリスクが、もともと吸わない人と同じところまで下がるのに必要な時間は、病気によって差があります。心筋梗塞なら、止めた直後からはっきりとリスクが下がることが知られていますが、肺がんでは、たばこをやめてから20年以上でたばこを吸わない人とほぼ同じになることが調査からわかっています。そのため、喫煙者は、一刻も早くたばこを止めることが大切です。今からでも決して遅くはありません。すぐにでもたばこを吸うのを止めましょう。

出典:
Hara M, Sobue T, Sasaki S, Tsugane S. Smoking and risk of premature death among middle-aged Japanese: ten-year follow-up of the Japan Public Health Center-based prospective study on cancer and cardiovascular diseases (JPHC Study) cohort I. Jpn J Cancer Res. 2002 Jan;93(1):6-14.
(国立がん研究センター予防研究部ホームページに解説あり)
(論文中では、喫煙指数を1日に吸う箱数x喫煙年数で表しています)
Sobue T, Yamamoto S, Hara M, Sasazuki S, Sasaki S, Tsugane S; JPHC Study Group. Japanese Public Health Center. Cigarette smoking and subsequent risk of lung cancer by histologic type in middle-aged Japanese men and women: the JPHC study. Int J Cancer. 2002 May 10;99(2):245-51.
国立がん研究センター予防研究部ホームページに解説あり)
(論文中では、喫煙指数を1日に吸う箱数x喫煙年数で表しています)

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